仕事への取組み


弊社を手伝ってくれていたメンバーの一人が仕事を継続することができなくなってやめていくことになった。

私はお客さん、弊社のメンバー、仕事に関わってくれる関係者にとって、弊社と関わることで少しでも皆の人生の幸せに貢献できればと考えて日々の仕事に取り組んでいる。
幸せという観念は皆それぞれ違うので、弊社に関わる全ての人の人生の幸せに貢献できることはないが、一定の価値観を持っている人は心の奥で何かを感じてもらえるのではないかと思う。

先輩経営者たちからは、経営者として人の幸せといったおおそれたテーマを口に出すこと自体がうぬぼれだとか、傲りだとかいわれることが多いのだが、自分としてはこの会社を始めてから気持ちに変わりはないし、傲りだと感じることもない。
どれだけそれが実現できるかに疑問はあるが、少しでも実現できるように日々の努力を重ねるだけである。

幸せに貢献できる、あるいは伝えられるメッセージとしてはいくつかあるが特に意識しているのは以下の二つである。
この二つから何も感じるものがない人は価値観が大きく違うので弊社が貢献できる部分は少ない。

一つは、どのような仕事でも感謝して取り組むということである。
近年、稼げる仕事、面白い仕事、やりがいのある仕事といった言葉が良く使われるが、こういう言葉がなくなる世の中になってほしいと思う。
それぞれの人生や仕事には全て価値があり、面白い仕事、面白くない仕事と差別的に考えること自体がおかしいと感じる。
仕事によってお金で測定される価値は変わってくるし、それは報酬の違いとして受け入れるべきだと思うが、一つの仕事を面白いややりがいといった言葉で片づけるべきではない。
どのような仕事でも心を込めて取り組めば、面白くなるし、やりがいもある。
どのように報酬の高い仕事をしていても、報酬の低い仕事をする人たちの協力を得ることが多く、そういう人たちの思いを受け継いで付加価値を加えることで高い報酬が得られているということである。
弊社では、案件の受注額はメンバーに公開していない。
それは、金額によって仕事に取り組む真剣さを変えてほしくないからである。
利益率、お金の計算、どれだけ稼ぐか、といったことは日々の生活でいくらでも学べる。
どのような仕事でも感謝して取り組む、ということを弊社では感じて欲しい。

もう一つは、自分の人生や可能性に最初から制限を設けないことである。
弊社の場合、やってみないとできるかどうか分からないという仕事が多い。
多くの場合、お客さんもコンサルティング会社もやってみないとできない仕事はリスクが高いので、成功報酬等のヘッジをかける。
しかしながら、成功報酬は裏返せばできなくても報酬が増えないだけなので、コンサルティング会社はリスクが高まると得られるか分からない成功報酬にコストをかけるよりも諦めた方が効率的と考える。
絶対にやりきるんだ、という思いがなければ、そしてそれを自分自身に強制していかなければできることもできなくなる。

また、マニュアルや慣習等にとらわれていると、それ以上の成果を得られる可能性を最初から除外している場合が多い。
マニュアル通りにやっていると、一定の成果が効率よく得られるが、その上の可能性を考えることがなくなる。
とにかく、絶対にやりきるんだ、という思いだけを持ち、仕事に取り組めば必ずできるようになる。
弊社の仕事は毎回業界やテーマが違いどうやって結果に結び付けていくかを考えていくことになる。
よって、毎回の負担が極端に大きいと思う。
自分がやっている仕事をあまり人に進めない理由は、負担が大きいというのが主な理由であるし、仕事をしているスタッフの負担も大きい。
それでも、人生の中で一分、一秒でも弊社に関わった人たちに対しては、このような経験を少しでも活かして、自分の人生を幸せにしていってほしいと思う。

よく、コンサルタントの宣伝文句としてお客さんの成功のために一生懸命頑張ります、という言葉が聞かれるが、本当に正直にそういうことをいっているのかは疑問である。
コンサルタントとしては、自分が幸せになるように命を懸けて頑張り、それをいかに会社、お客さん、その他の関係者の多くの人達と共有していくかであるべきだ。

正直に生きると同時に、自分に制限をかけず、絶対にやりきるという強い思いを持って生きていってほしい。